北アルプス 飛越トンネル - 薬師岳(山スキー)
6月1日(日)は、岐阜県の飛越トンネルから薬師岳の様子を見てきました。
メンバーは単独です。
報告と所感
2008年5月31日(土)
なんとかして気持ちよくシーズンを締めくくりたい。
日曜日晴れる予報を確かめて16時に自宅を出発、岐阜から国道41号線経由で高山へ。
登山口の飛越トンネルには日が変わった1時に到着。さすがにここまで奥に入ると携帯電話も通じない。
空には星がまたたく。はやる気持ちを抑えてしばらく仮眠することにしよう。
2008年6月1日(日)
寺地山(1996)の手前から雪がつながり始めた。
乗鞍岳。雪解けもだいぶ進んでいるようだ。
稜線に出た。槍ヶ岳や黒部五郎岳が出迎えてくれた。
北アルプスの中でもとりわけ奥深くにある山・赤牛岳。
これから目指す薬師岳。これから一歩ずつ詰めていく。
薬師峠から見た黒部源流の山々。まだ深く雪に覆われている。
薬師岳避難小屋を目指す。山頂はもうすぐ。
薬師岳山荘と太郎平小屋を振り返る。
無事に山頂に導かれた。歩き始めてから7時間11分。
金作谷のカール。右端に黒部川が見える。
赤牛岳から水晶岳につながる稜線。北アルプスでも静かな場所なのだろう。
薬師岳山頂から見た赤牛岳。この下には温泉*1がわいている。
残雪の槍ヶ岳・穂高岳。
鍬崎山(2089m)。北陸のマッターホルンと呼ばれる。
薬師岳山頂付近の避難小屋。背景は有峰湖。
1963年正月、薬師岳で遭難が起きたことを伝えるケルンが立っていた。
遭難が起きた薬師岳東南尾根。
穏やかな空だった。このあと、思わぬ人に出会う。
太郎平小屋。ここで大休止。
北ノ俣岳の稜線の下から標高差500m、雪を拾いながら滑った。
北ノ俣岳避難小屋から下は、スキーは担いで歩く。
今日歩いてきた山を一望することができた。左が薬師岳、右が北ノ俣岳。
ようやく林道が見えた。
今日はよく歩きました。
1時間半仮眠して2:45起床。ヘッドランプを点けて3:22飛越トンネルを出発。登山道がしっかりしているので夜でも道に迷うことはない。
細かいアップダウンが続き標高はなかなか稼げない。雪が出てくるのは標高1800mを過ぎた湿原のあたりから。夜中は雪もまだ硬い。6月だからと思ってアイゼンを車に置いてきたが、時間帯によっては標高の低いところでもアイゼンはあったほうが心強いかもしれない。
北ノ俣岳避難小屋から先はところどころ雪が続いている。土の出た登山道沿いに進み、北ノ俣岳の稜線までスキーは結局担ぐ。避難小屋に泊まったと思われる登山者数名を追い抜く。
北ノ俣岳分岐までは飛越トンネルから4時間半弱で到着。稜線に出ると槍ヶ岳・黒部五郎岳が出迎えてくれる。この景色を今シーズンもう一度焼けつけておきたかった。
ここから太郎平小屋までは標高差300mのスキー。なだらかで広々とした斜面。小屋が見えるので安心しながらルートを自在に取れる。硬めの雪を直滑降で飛ばす。
太郎平小屋は通過、標高2294mの薬師峠まで下ったあとは山頂まで600m余りの登り返し。雪はつながっているので問題ない。10時を過ぎると硬かった雪も緩んでくる。帰りは気持ちよく滑ることができそうだ。
標高2700mの薬師岳山荘あたりからは何度も立ち止まりながら景色を眺めて、山頂手前の避難小屋を少し進んだところでスキーをデポ。山頂へは10:33に到着。飛越トンネルを出発してから7時間11分が経っていた。
登り始めたときは薬師岳の直下にある「金作谷」に興味があったが、カールまでの標高差が約200mある谷を滑って登り返すと車に着くまでに力尽きそうな気がしたので、今回は見送ることにする。
雲一つない無風の快晴なのに山頂には僕一人。6月なのに雪はまだ豊富にある。どこから見ても絵になる剱岳・立山、北アルプスの奥で静かに存在を主張する赤牛岳、水晶岳、黒部源流。指を震わせながら何度シャッターを切っただろうか。
山頂からの展望に満足、デポした地点に戻りスキーを履いて斜面を滑り始めると、山スキーヤー2人組が黙々と登ってこられることに気づく。もしやと思い声をおかけすると、秘かに敬愛する山スキーヤー・YASUHIRO氏とパートナーのF氏だった。まさか、こんな場所でお会いできるとは。
山スキーに興味を持つきっかけをWebを通して与えてくれた人、ため息をつきたくなるような素晴らしい記録を築き続ける人たちが、いま僕の目の前にいる。
もちろん、5年前に2人が行かれた今回のルートの記録は、自分の携帯電話に保存してザックの底に忍ばせてある。
嬉しさと緊張のあまり頭は一瞬にして真っ白になってしまった。身振り手振りを交えて何をしゃべったかもう憶えていない。
ただこのときを忘れないよう、記念写真だけはしっかり撮らせていただいた。
気分良くして薬師峠まではザラメの斜面を快適に流す。ここからはシールを着けて太郎平小屋で20分の大休止。
目眩がするほど腹が空いてしまったところをまとまった炭水化物をとってエネルギーを補給。小屋で雪解け水を汲ませていただき体力を回復する。
北ノ俣岳分岐までは標高差200mのなだらかな登り。しばらく登山道を下ったあと2500m付近から雪がつながっているのを確かめ、再びスキーを履く。か細い雪を縫ってなんとか標高2030mの北ノ俣岳避難小屋まで滑り降りる。ここからは雪も途切れ途切れになるため、スキーの着脱を繰り返すより素直にスキーを担いで歩いた方が速い。雪解け水で登山道はぐちょぐちょ、兼用靴も泥まみれになってしまう。
細かく続くアップダウンに辟易しそうになったころ、ようやく林道が視界に。
飛越トンネルには16:49に到着。出発してからの行動時間13時間27分、標高差は2400mちょうど、移動距離は往復で33.6km。課題は残してしまったが、なんとか無事に最後まで歩くことができた。