そこにあるもの、いつかかなえるもの。
駅のホームで電車が行き交いするのを眺めながら。
息を弾ませながらその場に駆け寄って、顔をほころばせる。
「楽しみはもう少し後でもよかったかな」「ようやく会うことができた」
かすかな遠慮と待ちわびた思いとが、ない交ぜになった心境。
だから、いざ発車するときになると
かなわぬ願いとわかっていても
もうちょっと長い間、せめてあと少しだけ。
間際の名残惜しむ雰囲気を味わっていたくなる。
日曜日の夜の上り列車。
どこか安らいだ空気を窓越しに感じていると
いつもの場所に戻るときが自分にもやってきたことに気づいて、ふと我に返った。
自分の、そして向こうにいる人の
のぞみがかないますように。