著作権がらみでもやもやと思ったことを書いてみる〜ライブドア、VIP STAR

ライブドアのインスパイア劇を冷静に観察してみたい

ライブドアが、Flickrmixiに引き続いてYahooのサービスインスパイアしたらしい。
そういえば、昨年パクリがらみで業界の関係者と一般の読者との間で意見が分かれた事例を思い出した。
漫画家の末次由紀氏の盗作疑惑である。
熱心な読者や通りすがりのブロガーにはいささか刺激的なネタだったようだが、編集者の竹熊健太郎氏のエントリを読んで自分のものの見方が皮相的であったと気づかざるを得なかった。

厳密な意味でのオリジナルは、この世に存在しない。
これはまた、
あらゆる創作は、模倣の土台の上に成立している。
と言い換えることもできます。そして俺は「オリジナル」と「盗作・剽窃」の違いを元ネタにはない新しいプラス・アルファ(独創性)があるかどうか。その有無と程度に求めているわけです。この考えを前提にして、俺はあらゆる「表現」を考えているつもりです。
たけくまメモ:許される模倣・許されない模倣

一方、2003年ごろから相次いで立ち上がったブログサービスはMovable Typeを下敷きにしたものが多いといわれるが、それをもってサービス提供者をパクリと糾弾する声は寡聞にして聞かない。
naoyaさんのエントリ以降、報道される姿だけでなく、優れた技術者を擁するIT企業としてのライブドアに目を向けようとするエントリが相次いで立っている。
他社のいいとこどりに徹し、プライドをかなぐり捨てたように見える一連のインスパイア劇に眉をひそめたくなる感情は確かにあるのだけど、サービス提供者としてのライブドアの価値を純粋に見極めようとするこのエントリを卓見だと思った。

CSS程度の上っ面レベルの模倣なんて、評価の対象ではないと思っている。その裏にある、レスポンスの速度であったり、サービスサポートの充実であったり、そっちの方こそ評価で重要だと思うんだけどなあ。
デザインをパクパクはいかがなものか? - HsbtDiary (2006-02-08)

連日報道されて上昇するばかりの膨大なページビュー、トランザクションをエラーを出さずにさばき続けるノウハウ。
それだけに、これからライブドアがリリースするサービスに視線を注いでいくのか。
それとも、下品なインスパイアの事例として唾棄すべき存在として切り捨てるのか。
どうも、目の前に美味しそうなネタを差し出されると、否応なしに判断を迫られる観念に取りつかれているような気がする。
自戒せねばならない。

租界の偶像〜徒花としてのVIP STAR

平井堅の「POP STAR」の替え歌バージョン「VIP STAR」に、いよいよJASRACの横槍が入ったようだ。
ネットの情報ハブで言及され、影響力を有するアイテムとみなされた以上、「VIP STAR」はいつかは終わることを約束されていた租界の偶像だったのだ。
著作権法上、替え歌は「同法第20条の同一性保持権及び27条の翻案権」により、著作権者の事前の許諾がなければ利用できないという。
間違いなく、VIP STARは確信犯の産物である。
ことのはでも言及されていたように、匿名であることを隠れ蓑に弱者の主張?を臆面なく繰り返す巨大掲示板のユーザの行動は、どこまでもローカル・ルールの枠を出ないものだろう。
ただ、匿名空間がもたらすダイナミズム、快楽が『電車男』を産んだように、ネット空間にも都市の「盛り場」に相当するようなアジール=避難場所が求められていると思うのは僕の身勝手なのだろうか?
クローズドゆえに「Googleに検索されない」ことがSNSの特徴」とするならば、もしかして今までのアングラサイトのような役割をこれからSNSが担っていくのだろうか。
SNSの中で遊んでいる限り、仲間だけで楽しめる=自分たちのルールでやりたい放題できるわけだから。