ごく一般的なユーザがweb2.0な体験に至るまでの履歴を書き連ねてみる

web2.0という概念を言葉や文章にしようとすると断片ばかり浮かんでは消えてフォーカスが定まっていないように感じている。
ならば、ありふれた文系出身の会社員である自分がweb2.0な体験(エクスペリエンス)に触れるまでの遍歴を書き連ねてみれば、何か筋道のようなものが見えてくるかもしれない。
FPNで示されていた例示にならって、自分の経験を交えて書いてみよう。

Web1.0=HTMLタグでハイパーテキストを知る(1995年)

学生時代の情報処理の実習(といっても自己紹介のサイトを通り一遍作る程度だったが)でメモ帳上でHTMLタグを入力、<font size=1>文字</font>*1とタイプしたあとブラウザで大きな文字が表示されることを確認。<a href=”link.html”>リンク</a>と記してブラウザで確認したとき、その文字の上にマウスを載せると画面の矢印が人差し指に変わりクリックするとページが移動する動作を確認。
折しもキーボードをさわり始めた時期、自分の入力した文字がブラウン管に表示され、画面が変化するのを見て素直に感動した。

Web1.2=HTMLエディタでタグ打ちから解放される(1996年)

MicrosoftがWord95とセットでIE2.0を同梱、Justsystem一太郎と一緒に和製ブラウザ「JustView」を頑張って売り出そうとしていた時代、既存の日本語ワープロでHTML形式で保存できる機能が注目を集めていた。ホームページなるものを作ってはみたいがHTMLタグに手を焼いていたユーザには福音。
ただこれまでワープロに馴染んでいたためHTMLであってもフォントや文字サイズの固定が自由にできると信じて疑わず。<font size=”n”>で文字の大きさを指定するなんて、なんだかワープロ文書より融通が利かないと思いながら使っていた。

Web1.3=掲示板で動的なウェブページに触れる(1997年)

フォームにメッセージを書き込んで、HTMLを打たなくてもすぐにコメントを反映する動的なページに驚嘆。これが「cgi」という機能を使って実現されていたことをほどなく知る。
そういえば、このころは個人ページにTeacupなんかの掲示板にリンクを張ってゲストブックみたいにするのが流行したなあ。

Web1.5=アクセシビリティの概念に触れてウェブのコモディティ化に気づく(2002年)

単に見栄えがよいサイトが素晴らしいサイトとは限らない、という声が上がってきたのがこの頃。お年寄りや身体に不自由のある人が、ウェブを情報を入手する命綱として使おうとする光景に触れる。視覚障害者はウェブの情報を音声ブラウザから取り出す。聴覚障害者の恋人同士は携帯メールで情報を交換している。
自分が馴染んできたInternet Explorerはウェブを利用する道具の一つに過ぎなかった。
説明のない画像を音声ブラウザは理解できない。フレームは音声ブラウザを惑わせる。文字サイズを固定すると弱視の利用者に情報を伝えることが難しくなる。サイトナビゲーションのないページはgoogleから直接来た訪問客を迷子にする。
ウェブはもはやマニア・オタクだけのものではなくなっていた。WEBコンテンツJIS。Webアクセシビリティの確保。フレームがアクセシビリティ検索エンジン最適化に及ぼす悪影響。これまで便利だと思っていた手段の否定。
ホームページビルダのどこでも配置モードやMS-Officeの吐き出すHTMLはアクセシビリティ上無茶苦茶だとようやく気づく。

Web1.7=HTML+CSSでサイトを楽に管理する(2003年)

ユニバーサルデザインアクセシビリティの声に押されるように勉強を始めたHTML+CSS
1枚のCSSを書き換えるだけでサイト全体のデザインが一斉に書き換わる。これまでHTMLに直接記述する方法しか知らなかった自分には目からうろこが落ちる体験。デザインとデータの分離。CSSによるサイトのデータ転送量のダイエット効果、メンテナンス性の向上。エディタからタグ打ちに回帰。

Web2.0はてブ、はてダでWebが直接思考に訴える体験をする(2005年)

階層が深くなりすぎてローカルに深く埋もれたお気に入りをどうにかして整理できないものかと始めたはてなブックマーク。お気に入りを整理する以上に、ブックマークを共有することで「コミュニティの中での自分の関心」を相対化できることに驚喜する。(はてなブックマークが自分にもたらした効果はこちらにも書いた
はてなブックマークのアウトプットを果たす役割として始めたはてなダイアリー。エントリにトラックバックやコメントをいただいて自分のものの考え方を疑ってみる姿勢を持つ。

結局、何が言いたいのか

掲示板に書き込んでもウェブサイトの管理をやっていても、自分の思考に直接Webが影響を与えることはこれまでなかった。
バーチャルなのに深く刺激される思考。
やはりうまく言葉にまとめられないが、自分にとってweb2.0って何? と訊かれると、
ウェブ上で不特定多数のユーザと知識を共有することで、新たな思考やアイデアを生み出すことが容易になりつつある動き
とでも答えることになるのだろうか。
う〜ん、まだわからない。

*1:実際「<」「>」は半角