はてブのお気に入り機能はなぜ支持されないのか〜自分を補完する役割をお気に入りに求めているとするならば
はてブの「衆愚」や「お気に入り機能」について最近もやもや思っていることをメモしておきたい。
ユーザが増えるほど、価値観は多様化する
はてブが認知されることでユーザが増加、価値観も同時に多様化するなかで、面白そうな記事を丁寧に探すユーザもいれば、人気の記事に追随するだけのユーザも混じるようになる。結果「注目のエントリー」に上がってくる記事のジャンルが分散し、「人気エントリー」のジャンルは無難なもの(tips、lifehacks系)が増える。おそらく最近のはてブが「衆愚化した」と嘆かれるのはこのあたりの現象のことを言うのだろう。
僕自身の考えを記すならば、「衆愚化」することは、ブックマーカーのカバーするジャンルが広がる意味では、むしろ好ましいことなのではないかと思っている。
ただ、ユーザ層が拡大することで、全ユーザ共通の「注目のエントリー」「人気エントリー」を頼りに情報収集する姿勢が、もはや意味をなさなくなっている、とも考えている。
要は、お気に入りなわけだが
はてブの利用者が増えてもノイズに惑わされないためにはどうすればいいのだろうか。
「自分の興味のある分野に詳しそうなブックマーカーが選ぶ記事なら、自分にとっても役に立つ記事である可能性が高い。そのような人を複数手元に集めておくことで、情報収集の密度を高める」
「注目のエントリー」を自分向けに最適化すること。
一言で言えば、「お気に入り」を上手に使いこなすことである。
お気に入りを選ぶ基準とその限界
しかしながら、はてブのお気に入り機能を使いこなすことは、意外と容易ではない。
お気に入りを選ぶにあたっていくつかの基準や指標のようなものがあるとするならば、次のような要素が挙げられるだろうか。以下、メリット・デメリットともに書き出してみよう。
- ブックマーカーの支持
- ブックマークするエントリー
- 自分のブックマークする記事と似たような記事をブックマークしているユーザなら、有用な情報をカバーしてくれるのではないかとする考え方。
- このジャンルのサービスは、これまでに完成度の高いサービスが複数リリースされている。代表的なものは下記の2つ。
- はてブお気に入りサジェスタ:お気に入り発掘サービスの元祖みたいなもの。
- 好みの近いはてなブックマーカーを探そう:かなり高い精度で好みの近いブックマーカーを発掘できるサービス。
- これらのツールの限界は、自分に近しい価値観のユーザしか見つけることができない点だ。
- 人間というのは勝手なもので、自分とブックマークが被るユーザを必ずしもお気に入りには入れたくないという心理も働く。そのようなわがままな欲求にはこうしたツールは応えてくれない。
- だからこそ、僕が先週書き殴ったお気に入りガイドみたいな記事が支持を集めたのだろう。
- 味のあるコメント
- 同じ記事をブックマークを見るとき、コメントやタグがないブックマークよりも、意味づけされたタグ、機智に富んだコメントのついたブックマークに目が惹きつけられることはないだろうか。
- おそらく、これからお気に入りを選ぶ際に目を惹くポイントになるのは、タグであったりコメントであったり、ブックマーカーの人間性が直接発露する部分なのかな、と自分は思っている。
- ただ、現在のところ、コメントはユーザ自身が観察して地道に追うしか手段がない。
- 一番美味しいところを味わうためには、それなりの労力を要するというのが現状、と言っていいかもしれない。
サイレント・マジョリティのユーザ向けのUIが必要だ
はてブのコミュニティではてブ方言を操るような、はてブを「味わっている」ユーザは、全体のパイから見ればごく少数なのかも知れない。
現在のお気に入り機能がどちらかといえば不人気なことは過去にも議題に上ったことがある。
「304 Not Modified: はてブお気に入り機能が不人気である理由 」では、ライトユーザにはお気に入り機能は流れてくる情報が多すぎて使いこなせないのではないかという指摘。
「suVeneのあれ: 「お気に入り」の人選が難しいという意見に対する考え 」では、お気に入りのブックマーカーを見つけるためには、特定のブックマーカーを観察して品定めする期間が必要になるという指摘。
「情報収集を効率的に行いたい」だけの動機ではてブを使っている大半のユーザは、お気に入り機能を使うことを煩雑この上ないことと感じているはずだ。
だが、見方を変えれば、「地道にブックマーカーを追う作業」をもっとシンプルにできれば、有用なお気に入りに巡り会える敷居を下げられるとは言えないだろうか。
このあたり、最近はお気に入り界隈を効率よく巡回するツールが出てきている(suVeneのあれの方が開発されたZer0readerでお気に入りを旅する感覚を味わえるのは、目から鱗だった)ので、こういったツールがもっと認知されて欲しいと個人的には思っているのだが、いかがなものだろうか。