はてなの特徴を手短に述べられるか〜わかりやすく、響く言葉で伝えられるだろうか

限られた時間や言葉で、自分の考えているものやことを伝えることは思いのほか難しい。
思考の回路が錆びついているようではいけないし、伝える相手が何を望んでいるのかを読む能力も必要だ。

はてなって、どんなところ?」

「hatayasan、“はてな”ってどんなところ?」
知人とネットの話題で盛り上がりながら、ホームページ→mixi→ブログと話題が進んでいった後に唐突に質問を受けた。もちろん、知人は僕がはてなを使っていることは知らない。
きっと、知人は「暇さえあればネットにのめり込んでいる感じが漂うhatayasanなら、最近新聞や雑誌でよく目にする “はてな”について何か知っているだろう」と期待して僕に質問を差し向けたのだろう。
「ああ、それは…」と言いかけたところで、どの引出しを出せば“はてな”に親近感を持ってもらえるか、言葉を用意していないことに気づいた。
初めての人に“はてな”がどんな場所かを伝えようとするならば、個別のサービスの魅力を延々と熱く語るよりも、ビジネス誌よろしく口当たりのよい言葉を添えてこぎれいにまとめればいいかもしれない。
もしも、この一言がきっかけで知人がはてなを使うようになってくれれば嬉しいではないか。一呼吸置いてこう答えた。
はてなは、ネットを楽しむためのいろいろなサービスを提供しているところです。一度ユーザ登録してみれば、面白いんじゃないですかね。」
僕の説明を聞いて、知人がはてなに関心を持ってくれたかどうかは、わからない。

自分を知る、相手を知る

家に戻ったあとこの日のことを思い返していると、もう少し気の利いた説明はできなかっただろうかと虫が頭をもたげ始めた。
自分自身、理屈を並べて人を煙に巻くことはこれまで何度かやってきたが、手短に要点だけをわかりやすく伝えるのは、どうも得意ではないようだ。
同時に、知人が「はてな」に関してどのようなイメージを持っているか、ネットとの付き合いがどの程度なのか。自分の持つ引出しの中から一番効き目のありそうな球を取り出すためには、こういった好みや指向も抑えておけばよかったのではないかとも思えた。
当り障りのない最大公約数なコメントでその場をやり過ごせたとしても、向こうの心に響く言葉を伝えようとするならば、相手が何を望んでいるのかを知ることがやはり大切だ。
知人の興味のストライクゾーンにもし見当がついていたとするならば、どのような説明の仕方があっただろうか。遅ればせながらこの記事でシミュレーションしておこう。

「“はてな”の特徴を、まだ“はてな”を知らないけれど“はてな”に興味を持っている人に30文字以内で簡潔に説明しなさい。」

  1. ネットで効率よく情報を集めるサービスを提供しているところ。(29文字。読点含む。以下同じ。)
    • はてなに関心のある人すべてに通じる、当り障りのない説明。ただ無難すぎて面白くない。
  2. ネットに詳しい人たちがたくさん集まって遊んでいるところ。(28文字)
    • そこそこネットの経験がありそうな人向けへの説明。新しい刺激を求めていそうならばこの切り口で。
  3. ネットの流行を追いかけたいときに立ち寄れば役に立つところ。(29文字)
    • 流行に敏感な、移り気な人向けへの説明。新聞や雑誌からはてなに話題が振られれば、この切り口で大丈夫だろう。
  4. わからないことを質問すれば丁寧に教えてくれるところ。(26文字)

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