はてなスターを使いながら、公開系コミュニケーションツールの敷居を考えた
オープンな空間に文章を書くことの素晴らしさを多くの人が体験しないまま、ブログをやめてしまったり、閉鎖的な空間に閉じこもってしまうのではなく、その素晴らしさを誰もが簡単に感じることができる仕組みと場を作り上げていくことが自らの使命であると考えます。
はてなダイアリー日記 - ブログをいっそう楽しくする「はてなスター」をリリースしました
7月11日(水)にリリースされたはてなスターを少しだけ使ってみて、いまウェブ界隈で使っているコミュニケーションの手段をおさらいしてみたくなりました。
ウェブでの「公開系1対1コミュニケーション」の敷居を考えてみよう
はてなユーザがウェブで使うコミュニケーションの手段に「トラックバック、コメント、ソーシャルブックマーク、はてなスター」の4つを想定することにします。
1. トラックバック
- normal";>つながるためには:トラックバックでつながるには、互いにブログを持っていて、かつ送信先がトラックバックを受け入れていることが条件。
- normal";>書き込むときは:送信元のブロガーに必要なのは、引用した記事に言及しつつ公開私信を送るように主張をまとめること。*1
- normal";>修正/削除は:一旦送ったトラックバックを送信者が消すことは基本的に不可。
- normal";>記事の評価につながるか:トラックバックの多寡とエントリの質に相関があるかは不明瞭。せいぜい「盛り上がってますね」。眺めて興味深そうな記事を読みに行く程度。
- normal";>敷居の高さ:公開系コミュニケーションの中では、トラックバックを送るときには居住まいをやや正す必要があるのかも。
2. コメント
- normal";>つながるためには:コメント欄が開放されていれば、自分がブログを持っていなくても書き込むことは可能。
- normal";>書き込むときは:相手に読んでもらうことを前提に書く。トラックバックに比べると記事を立てる必要がない分だけカジュアルに行える。
- normal";>修正/削除は:ブログサービスによってはコメント欄を修正・削除することが難しいことも。
- normal";>記事の評価につながるか:トラックバックと同様、コメントの多寡がエントリの質を評価する物差しになるとは聞かず。トラックバックより気軽な分「炎上か?」と勘繰ることも。
- normal";>敷居の高さ:コメント欄に書き込むのは思ったほど気軽ではないかもしれない。書き込むかどうかは、記事やコメント欄の賑わいや雰囲気に左右されることが思った以上に多い。
3. ソーシャルブックマーク(はてなブックマークを例に)
- normal";>つながるためには:はてブユーザであれば、ブログの記事に限らずどんなページでもブックマーク可能。ただし、ブックマークすることが必ずしも記事の中の人とつながることを意味するものでないことには留意。
- normal";>書き込むときは:中の人に向けてコメントを記すこともあれば、自分用のメモと割り切ってブックマークすることもあり。
ブックマークする記事や状況によって大きく変化する。 - normal";>修正/削除は:ブックマークもコメントも簡単に修正/削除可能。
- normal";>記事の評価につながるか:ブックマークの数と記事の評価があたかも比例するように見せるシステムの設計。これははてブが「ソーシャルメディア」の性格を有することを端的に示すもの。
- normal";>敷居の高さ:中の人に向けて書くトラックバックやコメントに比べると、自覚が少ない分格段に気楽。
4. はてなスター
- normal";>つながるためには:スターを加えるには、書き込みたいブログが「はてなスター」に対応していることが条件。*2
- normal";>書き込むときは:スターを押すだけなので、雰囲気に遠慮することも気兼ねすることもない。
「来ましたよ」 時には心のこもったリファラのようで。
「読みましたよ」 ブックマークまでしようとは思わないけどその人が伝わってくるような日々の雑感に対してはとそっと囁くように。 - normal";>消すことは:修正も削除も不可*3。自分の記事にスターを連打したあとで消せないことに気づいたときは少し恥ずかしい。*4
- normal";>記事の評価につながるか:スターを加える回数に制限がなく、数の多寡が記事の質とは直接結び付けられていない点では、ソーシャルなはてブよりかは、パーソナルなコメントやトラックバックを思いきり気軽な方向に薄めた印象。
- normal";>敷居の高さ:あっけないほど気軽に「読みに来た」ということを確実に伝えることのできるツール。mixiの足あとのように否応なしに残るものではなく、スターを押す選択をユーザに委ねているのは絶妙なところ。
公開系のコミュニケーションツールを使うにあたって、はてなユーザが感じる敷居は以下のようになるのではないかと思いました。
トラックバック > コメント > ブックマーク > スター
自分の記事に反応することなど
角度を変えて、自分の記事に自分で反応することについてはどうでしょうか。
- セルトラ
- セルコメ
- セルフコメント。自分の記事に自分からコメントを書き込むこと。
- 記事の補足とかにシチュエーションは限られるかも。
- セルクマ
- セルスタ
トラックバック、コメント、はてなスターはブログ内で完結しうる「パーソナル」なコミュニケーション手段であるのに対して、はてブはブログのトラフィックを左右する「ソーシャル(公共性を有する)」なツールであることがぼんやり見えてきました。
見えてきたことなど。
以下、邪推。
*1:ただ、id記法でトラックバックが自動的に送られるはてなは少し事情が違うかも。
*3:7月13日現在では。
*4:うっかりつけてしまったスターや足跡をつけまくる「想定外」の使われ方に対応するため、スターを修正/削除する機能はやはりほしいところです。
*5:セルクマを躊躇う心理については、「シナトラ千代子 - セルクマ恐怖症」で詳しく解説されています。
*6:もしかして新語?
*7:はてブのライトユーザの需要をはてなスターが満たすことによってPVが減るとする「はてなスターがあるとアクセスが減るので消しました(ココロ社)」の指摘は非常に鋭いと思いました。PVがサイトの最重要の人気の指標でなくなりつつあるという話もあるようですし、はてなが「ブログの価値」をアクセス数よりも「確かなつながり」に見出しているとするならば、はてなスター恐るべし、ということになるのでしょうか。
*8:はてブの衆愚化の事例については、rikuoグループ - rikuoの日記 - あなたの衆愚化は何を指しているのか?に詳しく解説されています。
*9:はてなスターの利用シーンを考察した記事として「花見川の日記 - はてなスターについてあれこれ考察」がとても参考になりました。