奥美濃 石徹白(1日目)

あいにくの天気、春の山スキーを満喫とはならなかった。

出発まで

GWへの足慣らしとして、石徹白の山々をぐるりと周回するコースを考えてみた。
あいにくだが、このところの週末は荒天続き。予報によると、今週も例に漏れず土日の天気は芳しくないようだ。
とりあえず、現地に行って雪の状態も含めて判断するほかないだろう。

報告と所感

6:00起床、7:10出発。天気は曇り。
石徹白大杉の分岐までは林道を約6km歩く。一部で雪の塊が道を塞いでいる箇所はあったものの小屋の直前まで除雪されていた。
8:30、小屋から稜線へ。取り付きはツボ足で、以降スキーを履く。1箇所雪庇を乗り越すためにスキーを脱いだがおおむね緩やかな登りで快適に高度を稼いでいける。
ところが標高を上げるほどにガスが張り出し雨が降り出してきた。あまりいい気がしない。ひとまず稜線の分岐にある神鳩避難小屋まで向い様子を見ることにする。先週の黄砂の影響だろうか、雪は全体に黄みがかっており水作りに苦労させられそうだ。
10:50、神鳩避難小屋。小雨。風はないがガスが張り出しており視界はほとんどない。明日は低気圧が東に張り出すとのこと、今日より天候が好転することは考えにくい。ここで泊まって明日の天候次第で進むか退くかを様子を見てもよいが、この時点で石徹白一周は幻のものとなる。時刻はまだ11時にもなっていない。ここで敗退を決め込むのはさすがに早すぎる。
ならば銚子ヶ峰と願教寺山の中間部まで進んでおけばどうだろうか。2日目の天気が荒れれば真南の笠羽谷を滑降すれば林道に戻れる。晴れていれば、稜線沿いに一周できる芽も出てくる。
「エスケープを確保したうえで行きたいのですが、かまわないですか」二人に同意を求めて先に進むことにする。視界はないが尾根上に出てくる小ピークや顕著な登りなどの地形を細かく点検しつつ途中の小ピークである母御石(ははみいし)は通過、銚子ヶ峰は12:00到達を確認。時折緩い下りが出てくるが視界もなく雪面が割れた箇所も見られるためシールを着けたまま歩くように下る。別山方面と願教寺山方面との分岐となる1784ピークで西に進路を切り替え鞍部に向けて下る。途中突然ガスが晴れ別山・願教寺山方面の展望が姿を現す。目の前には広い緩斜面が広がっているのがわかった。たまらずシールを外し鞍部まで滑り込む。思えばこのときが今回の山行で唯一快楽に浸れた時間だったかもしれない。
これなら野伏ヶ岳の近くまで行ってしまえるのではないかと鼻息を荒げるが、鞍部から願教寺山へ登り返しから再びガスに巻かれる。願教寺山山頂では風強く雨が次第に強まる。ここから真南に進路を切り替え。忠実に下っていくが真南に進んでいると切れ落ちた箇所に出会う。次のピークのよも太郎山にしては早いと確信が持てないまま尾根を下り偵察をしていただくが、しばらく下っても(正しければ出てくるはずの)登り返しが出てこないとのこと。自分たちは県境の稜線を忠実にトレースしているつもりだったが、どうやら谷筋の尾根に迷い込んでいる可能性がありそうだ。この時点で14:30。正しいルートを歩いている確信が持てないままいよいよ風雨が強まってきた。このまま強行すると天候の悪くなる明日はさらに余裕がなくなるかもしれない。心苦しいが余力とトレースのあるうちにもときた道を戻ることにする。稜線上は一部藪が出ている箇所もあり、兼用靴での藪こぎに難渋。
15:30、願教寺山と銚子ヶ峰の中間の1615ピークの北東、稜線から30mほど北方に滑り込んだ緩斜面を幕営地としツエルトを張る。すぐ上の稜線上からは風の吹きすさぶ音がしている。
明日は晴天ならば再び願教寺山方面に向かって一周を試み、ガスや雨ならば笠羽谷を足早に下ってエスケープすることにする。
20:00就寝。眠りにつく頃から雨が雪に変わり始めたようだ。ツエルトを何度か叩いて雪を払い落とす。