自転車で白山一周


念願のコースを走ろう。
4月29日は、自転車で白山の麓を一周しました。

記録

当日まで

山登りのトレーニングで自転車に乗り始めた2007年頃、興味深いサイクリングの記録に釘つけになった。
白山一周
自転車で走る距離を伸ばしていくうちに、自分も挑戦してみたいと思うようになるまでそれほど時間はかからなかった。


「白山一周4/29の予定です。」
2011年3月、記録を書いた方から直接誘いをいただいた。
今年こそはと思い描きつつも、事情が重なって思うように時間を取ることができず、ぼんやりしていた時期のさなか。
これはチャンスと二つ返事で参加を申し出るも、4月に入ってほとんど自転車に乗れないまま連休を迎えてしまう。
心ははやる一方だが、果たして最後まで脚がついていくだろうか…。

出発まで

白山一周の装備はブルベの装備(反射タスキ、二灯ヘッドライト、大型テールランプ)をそのまま使えば事足りそうだ。心配なのはダム沿いのトンネルは断面が狭くて路面も凸凹でライトをつけていても難儀すること。過去2回トンネル内でパンクしたことがあるのでチューブは3本持っていけば安心だろうか。
木曜日21時に京都の自宅を出発。高速1000円に与るため0時10分に小松ICの料金所を出て待ち合わせ場所の白山比め(しらやまひめ)神社には1時過ぎに到着。かなり広い駐車場だ。車中泊の準備をして一言つぶやいたあとしばし仮眠。
4時10分のアラームに合わせて起床。装備のチェックをしていると1台クルマがやってきて自転車を組み立てておられる。
準備を終えてあいさつ。今回お誘いいただいたmattaさん*1である。想像していたよりずっと若く見える。初対面なのだがネットで活動されているのを知っていたためか「ようやくお会いできた」という感が強い。
同行いただくコロさん*2とも合流。北陸の冬でも朝練を欠かさない、気合の入った方である。
鳥居の前で安全を祈願して、あたりも明るくなり始めた5時に神社を出発する。

白山ひめ神社 - 勝山

スタートしてすぐに県道に入る。土地勘のない自分ならまず国道を選んでいるところだが、クルマの少ない静かな道をじっくり走れるのは地元を知り尽くした二人のおかげ。途中真っ白な白山の山頂が顔を見せる。今日は一日晴れてくれるだろうか。
手取川ダムの手前で国道に合流、まだクルマは少ない。早朝の白峰の公衆トイレで一服したあと谷峠へ。まだ一つ目の峠なので疲れを感じるほどではない。道路沿いの温度計は2度まで下がっている。グローブを二重に着けていて助かった。
峠から勝山市街まで10km以上の豪快な下り。朝の時間帯はクルマも少なく気を遣う必要もない。
天気は福井県側は一変して曇りとなり勝山市街に入ると小雨がぱらついてくる。予報では時折ぐずつくそうだが一時的なものとのこと、割りきって進むほかなさそうだ。
越前大仏の見えるコンビニで休憩。おにぎり、果汁100%のジュースを補給する。

勝山 - 石徹白 - 桧峠


九頭竜湖駅。ここから石徹白に向かう県道へ。


勝山から九頭竜湖方面へは、大野をショートカットして国道ではなく県道にルートを求める。当初予定していたルートが砂利道だったりなどで若干面食らうも国道158号に入るまで静かなサイクリングを楽しむ。国道に比べると県道は情報が少ない分、戸惑うこともあれば走って得をした気分にもなれる。
国道158号線に出てから、九頭竜湖駅に向けて緩やかな登り。クルマで走っているときは勾配を意識することなどなかったのだが…。覚悟をして臨む峠よりも、一見平坦に見える箇所でのアップダウンが意外と精神的にも響くのかもしれない。
工事中の片側通行で一旦停止すると「チャリーン」と金属音が。足裏を見てみるとクリートのペダルのネジが緩んで外れている。止まっているときに外れたのは不幸中の幸い。ネジを増し締めして事無きを得る。クリートのネジが外れるのは自転車に乗り始めて以来初めてのこと。コロさんに「グリスを塗ればトラブルを減らせる」旨アドバイスをいただく。
九頭竜湖駅でトイレ休憩したあと、石徹白を通過して第一の核心である「桧峠」へ。九頭竜湖から石徹白へ抜ける県道は、mattaさんが地元の官公庁に問い合せてくれたところライド前日の4月28日16時に冬季閉鎖が解除されたとのこと。
ありがたいことにすれ違うクルマはほとんどない。川底が透き通るような清流、ガードレールが一切無いスリリングな小径。国道などのメジャーなルートでは味わえない心地良さと緊張感がある。
石徹白からいよいよ桧峠の登り。ここで自分もとうとうメッキが剥がれたのか、二人から次第に遅れをとり始める。別荘地、ウイングヒルズを通過したあとも続く9%程度の勾配についに立ちこぎを始めて顔もしかめ面に。練習を積めていないツケが一気にやってきたのだろうか、汗が顔面から噴き出してカラダの成分が変わってしまうのではないかと思うほど全身が熱くなってくる。
標高960mの桧峠には二人よりかなり遅れて到着する。
114km。まだルートの半分も過ぎていない。

桧峠 - 白鳥 - ひるがの高原 - 御母衣ダム - 五箇山

桧峠から白鳥まで7kmの激下り。つづら折れを繰り返して市街地に飛び込んでいくさまはコロさんが「ジロ・デ・イタリアを彷彿とさせる」とつぶやくほど。
白鳥からは国道156号に合流、3%強の緩い勾配を10km強登ってひるがの高原を目指す。桧峠で疲れきった脚には相応に堪える。
ひるがの高原ではめぼしい店が見つからずコンビニで昼ごはん。カップヌードルとようかんを補給。
出発後、緩やかに下って御母衣ダム沿いに走る。東海北陸道の全通で車はそちらに流れたと思っていたが大型車と普通車がトンネルでのすれ違いに難儀しているところもある。心配していた路面の凸凹だが、先を走るmattaさんが随時危険箇所を指で差し示してくれるので安心しながら走ることができる。後ろからやってくる大型車には気づいた人が「クルマ!」「大型!」と注意を喚起。緊張を絶やさずに走れば大丈夫だ。
楽しみにしていた桜はまだ見頃とまでは言えない状態。ダム沿いにまばらに停められたクルマを見ながら、そういえば2007年前の2月2008年前の2月には御母衣ダム沿いの山をスキーで滑っていたことを思い出す。
巨大なロックフィルダムである御母衣ダムの本体を下って平瀬、白川郷へ平坦な道を走る。平瀬から白山へは2007年のGWMTB山スキーを使って目指した。奇しくも、その日から今日でちょうど4年が経つ。
白川郷は通過、トンネルを抜けて一気に五箇山を目指す。緩い下り基調の道だと速く走れるように錯覚させられる。
道の駅「上平」で休憩したあと、桧峠、ひるがの高原に次ぐ峠越えである、五箇山のつづら折れの峠を目指す。

五箇山 - 福光 - 兼六園 - 白山ひめ神社


五箇山の峠にて。


247km、全員が無事にゴールしました。


国道の分岐から五箇山トンネルまでの登りは約5km。mattaさんやコロさんは自分のはるか先を行く。走りこみの量の差はこうしたところで出るようだ。こればかりは仕方ない。
だが、目に入る汗に涙ぐみ鼻水とヨダレを垂らすも、笑みだけは絶やさない。
五箇山トンネルから福光までは10km以上の豪快な下り。何もせずとも60km/hは出る恐るべき高速ルートだ。砺波平野に飛び込んでいく様子は自転車を漕ぐというより何かの乗り物に乗っている感覚に近い。
城端の自動販売機で最後の栄養補給をしたあと、福光から金沢に向けて最後の峠越え。緩い登りを越えて快適で真新しい2車線を走った後に控えていたのは10%近い勾配の続く約1kmの登り。mattaさんから「心が折れそうになりますよ」と聞いてはいたが話に違わず相当堪えるもの。顔をしかめてジグザグ走行を繰り返して半泣きになって峠へ。最後に小さな登りをやりすごして金沢市街。18時過ぎにゴールである兼六園の「石川門」に到着。
経験豊富な二人に導かれて、念願のルートを全員で無事に完走することができた。
記念写真を撮った後、クルマを置いた白山ひめ神社に戻ったのは19時過ぎ。走行距離は260km強。ちょうど陽が沈むところだった。

終わった後で

この日は200円で入れる川北温泉で汗を流して打ち上げへ。あふれんばかりの金沢の海の幸に目を白黒。mattaさんやコロさんのサイクリング仲間も同じ場所で打ち上げをされていたらしく賑やかな場を楽しませていただく。金沢で立ち寄りたい場所がひとつ増えた。
さて、4月30日はどうしようか。
その日までに家に帰ると妻に伝えているとはいえ、このまま帰るのも面白くない。
ならば、もう少し楽しんでみよう。信州を目指して、金沢西ICから北陸道に乗った。

最後に

願ってもない人に声をかけていただき、念願のルートをみなさんに刺激をいただきながら走ることができました。
一日を終えて気づいたのは、実際に走りこまないとやはり体力は落ちていくということです。
野趣あふれるルートを余裕をもって楽しむには、心構えだけではなく、それ相応の準備を重ねて臨むことが必要だと思いました。
mattaさん*3、コロさん*4。ご一緒いただく機会をいただけたこと、深く感謝します。

データ

走行距離

262.5km

平均速度

24.0km/h*5

累積標高

3,552m

GPSログ

  • 白山市の「白山ひめ神社」から反時計回りに周回。
  • 兼六園の「石川門」で一旦ゴール、白山ひめ神社までは自走。

*1:はてなのIDはid:cyclist_matta氏。

*2:はてなのIDはid:chobichan152氏。

*3:当日の記録は「白山一周ライド、再び: It's a Time to Ride ! -自転車に乗ろう」に書かれている。

*4:当日の記録は「2011白山大周回レポート - ANZの今昔雑記」に書かれている。

*5:休憩時間は除く