洗礼を浴びる山 - 東北 飯豊山荘周辺

足りなかったのは、その山への思い入れ。

アプローチできびすを返す。
5月4日(月)は、東北の飯豊(いいで)に出かけてみました。

記録など

2009年5月3日(日)

高速道路の料金も値下げされたことだし、このGWは普段はなかなか届かない場所に出かけてみよう。
連休後半の行先を東北の入口にある「飯豊連峰(いいでれんぽう)」に定めて、午前10時前に自宅を出発。
日本海沿いに新潟まで通り抜けて、日本海東北自動車道の「聖籠新発田」ICまで600kmを高速道路で移動。
国道113号線沿いの「道の駅関川」にある「桂の関温泉」で運転の疲れを流したあと「道の駅小国」で仮眠する。

2009年5月4日(月)


梅皮花(かいらぎ)山荘から飯豊山荘までは4.5kmの林道歩き。

温身平(ぬくみだいら)。ここから登山道に。

登山道は細かなアップダウンが続いた。標高580m付近で雪が現れる。

梶川出合で雪が再び割れる。左が石転び沢方面。右が梶川。

水の深さは兼用靴の背丈ほど。流れは強く、できれば渡渉は避けたいところ。

左岸は雪がつながってはいるが悪い。登山道沿いに歩いて梶川を渡れないだろうか。

梶川へ回る。ここも雪が切れている。

安全に対岸に渡れる箇所を探すが…。

上流はかろうじて繋がっているものの、そのあとの草付の横断でで苦しめられそうだ。

前日には石転び沢を登ったパーティがいたようだが、気乗りしないまま突っ込むのはやめて引き返すことにする。

事前の偵察や相応の知識なしに登ろうなんて考えが甘かったんだろうな。


5時に起きて道の駅小国から登山口へ。
梅花皮(かいらぎ)山荘から飯豊山荘までは4.5kmの歩き。飯豊山荘までは5月7日に開通するとのこと。今回はMTBは持ち込まず黙々と歩く。
途中日焼けした数パーティとすれ違う。話を聞くと「石転び沢」にはトレースがあったとのこと。この時点では全く心配していなかった。
舗装路を延々と歩いて「温身平(ぬくみだいら)」の標識。ここから望む飯豊連峰はなだらかな山容で険しさを全く感じさせない。ダートをしばらく歩いて現れるダムの堰堤に着き、「石転び沢出合まで3.2km」の標識を過ぎると、アップダウンの多い薮がちな道が始まる。
登山道を歩いていて困るのは担いだスキーが枝を頻繁に引っかけること。しゃがんで枝を避けようとするも後からぐっと引っ張られるような感覚はいつまで経っても好きにはなれない。
標高590m付近でようやく雪が現れるが、すぐに途切れて再びスキーを担いでの登山道歩き。出発して3時間を超えると泊まりの装備一式が次第に肩に食い込み始める。
そして標高730mの梶川出合。雪が完全に途切れて強い流れが出ている。
これまで集めていた情報では、梶川出合付近では雪は完全につながっていると記したものばかりだった。やはり今年は例年にない寡雪なのだろうか。
河原に降りて石伝いに徒渉できないかを探る。どうやら靴を沢に浸すのは避けられそうにない。一箇所渡り終えても対岸の雪渓にたどり着くには徒渉を何度か繰り返さねばならないようだ。左岸は頼りなく雪が繋がっているが、下が溶けており見るからに不安定極まりなく体重を預けるのはできれば避けたい。ならもう少し登山道沿いに進んで梶川からは向こうへ渡れないだろうか。
沢の側壁を大きく巻いて梶川の川岸に降り立つ。上流はかろうじて雪が繋がっているが対岸に下りるまで雪のない草つきの壁を下降せねばならないようだ。
さてどうしよう。十分な装備のないまま、泊まりの荷物を背負って確信のない賭けをすることが今の自分にできるだろうか。
石転び沢の入口が見え始めたところだが、逡巡のすえここで引き返すことを判断。現場の写真を撮ってもときた道を戻る。


林道の木陰でザックを下ろして昼食を食べているところ、昨日(5月3日)石転び沢を登って翌日丸森尾根を降りてきたハイカーに追い抜かれる。慣れた方のようで自分が梶川出合で引き返したことを話すと「昨日は何の問題もなく通れた。君のルート取りが間違っているのではないか」と返される。
見た限り、沢の流れには中途半端な覚悟で取り組むには手に余る深さと強さがあった。
自分に撤退を決断させたのは、環境が変わって自分の安全に対する閾値が上がっていたからなのか、精神的に年をとって冒険をすることを避けるようになっていたのか、大して準備もせず重い荷物を担いだために消耗して周りのルートを見遣る余裕もなかったのか、それとも短い間に沢の様子が変わってしまったためなのか、今となってはすべてあてはまるような気もする。ただアプローチで見事に敗退して返す言葉もないのが正直なところだった。
距離こそ20km近く歩いているものの標高差は400m未満。それなのに全身が重く沈むような疲れはなんだろう。
車に戻って、飯豊連峰を見ながら山小屋で食べるはずだった特製メニュー「ソーセージ入り焼きそばの味噌和え」を食して、国民宿舎に併設された温泉「梅皮花温泉」に入浴、街に下りて上山温泉の共同浴場「下大湯」を訪ねる。
さて、次の日はどうしたものだろうか。

まとめ

寡雪の状態があたりまえになって、以前の年の記録を必ずしもあてにはできないのがこれからの残雪期の山スキーなのだろう。
次回同じ時期にこのルートを目指すならば、濡れてもいい靴、重い荷物に耐える準備、自転車などは用意しておいたほうがいいのかもしれない。

コースタイム

  • 6:35 梅花皮山荘(300m)
  • 7:50 飯豊山荘(400m)
  • 8:08 温身平(430m)
  • 10:23-10:40梶川出合(730m)
  • 12:15 飯豊山荘(400m)
  • 13:18 梅花皮山荘(300m)

GPSログ(クリックで拡大)

ルート

梅皮花山荘-飯豊山荘-梶川出合 まで

メンバー

単独