白い山のふところへ - 白山 市ノ瀬から湯ノ谷・丸岡谷
白い山のふところに行こう。
気になっていたあの場所へ。
4月29日(土)は、白山の「湯ノ谷」を訪ねてみました。
記録など
2009年4月28日(火)
大型連休はいきなり晴天で始まるらしい。
気になり続けていた場所を訪ねる絶好のチャンス。
仕事を終えて高速道路に飛び乗って、0時を過ぎて福井の料金所を通過。しばらく下道を流して、勝山市内の国道脇の駐車場で仮眠をとる。
2009年4月29日(水)
市ノ瀬まで車で入ることができた。別当出合まで約5kmの林道歩き。
砂防新道に向かう吊り橋には、きちんと板が被せられていた。
「中飯場」を過ぎたところでようやくスキーを履く。
標高2000mの甚之助ヒュッテ。屋根近くまで雪に埋もれている。
彼方に見える「赤兎山」。
やや急な斜面を登って稜線に出た。風が強い。
弥陀ヶ原から別山。
室堂。
GW後半に備えて、除雪の作業が急ピッチで進んでいた。
白山の最高峰「御前峰(2702m)」を振り返る。
白山の一角「大汝山(2684m)」にて。左から剣ヶ峰、御前峰。
5月が近いとはいえ、山頂の気候は厳しいようだ。
大汝山の直下はハイマツが出ていた。しばらくスキーを担いで下って様子を見る。
雪が繋がり始めたところでスキーを履く。湯ノ谷へは右に滑り込めばいいだろうか。
白山北方の「七倉山」。あそこへはどうやって行けばいいのだろうか。
湯ノ谷に入った。緩く滑りやすい斜面が続いていた。
週末の雪で、谷もすっかり化粧直しをしたようだった。
標高1890m付近で沢が割れ始める。
谷を大きく曲がった標高1840m付近で稜線に乗り換える。向こうは白山釈迦岳。
あの山から湯ノ谷を滑ってきた。
白山釈迦岳山頂で。この天気と雪の量ならどこでも滑れそうだ。
白山釈迦岳の山頂から丸岡谷へエントリー。
標高1760m付近、滝が出ている。尾根に登り返さねばならない。
尾根からは登山口の市ノ瀬を望むことができた。
尾根は快適なブナ林。
標高1350mでスキーを担ぐ。登山口の林道から先は雪が途切れていた。
春が山のてっぺんまで届くまでに。
4:00に起きて駐車場を出発、白山白峰のゲートをくぐって登山口である市ノ瀬に向かう。4月24日から白峰から市ノ瀬まで林道の冬季閉鎖が解除されたようで、10kmのアプローチを省くことができる。
市ノ瀬に車を停めて5:20に出発。別当出合までは1時間強の舗装路歩き。雪は路肩にも全くない。
別当出合から砂防新道へ。冬だと外されている吊り橋の板もきちんと被せられており安心して通ることができる。
雪が少なくしばらく登山道をぎこちなく歩く。スキーを履いたのは標高1550mの「中飯場」を少し過ぎたあたりから。今日は入山している人も多くトレースもしっかりしているので迷う心配はない。標高1970mの甚之助ヒュッテから先は東にトラバースしてやや急な斜面をやりすごしてエコーラインへ。稜線に出るととたんに風が強くなる。
昨夜室堂に泊まったと思われるスキーヤーの団体とすれ違う。室堂はGW後半に備えて除雪作業が本格化していた。
ここから先は最高峰の「御前峰」には立ち寄らず白山の一角「大汝山」を目指す。登り返しの必要のないルート取りをすればよかったのだが山頂を急いでしまったのか、御前峰の肩まで登って一旦下るはめに。このあたりルート取りの詰めが甘いと感じるところだった。
大汝山には社があり、山頂は広く普段の風が強いせいか雪がすっかり飛ばされており地面が露出している。さてここからが本番だ。呼吸を整えてザックを担ぎ、湯ノ谷に滑り込むポイントを見定める。しばらく藪が出ており様子を見ながらスキーを担いだまま下り、雪が繋がり始めたところでスキーを履いてガリガリの斜面を横切るように滑り始める。目指す湯ノ谷は下に広がっている。ただできるだけ長い距離を滑るつもりで尾根を回りこんでやや北側から滑り込む。
ガリガリでターンの切りようもなかった斜面も数回大回りをして高度を下げれば次第に緩み始める。土日の雪でお色直しをしたのか、落石もない真っ白で広い斜面がどこまでも続く。地形図で見るほど谷が狭まっているようには感じられない。自分がスキーで立てる雪の音のほかになにも動きも音もない、静かな時間が流れる。
このままずっと下まで雪が続いているのだろうか。調子に乗って飛ばしていると大汝山の山頂から700mほど下った標高1890m付近で沢が割れているのを見かける。勢いよく水が出ており油断していれば危ないところだった。今年はやはり雪が少ないのだろうか。夢見心地を引き締めてここからは慎重に下る。
大きく左から右に曲がった標高1840m付近で谷から尾根に乗り換えて白山釈迦岳を目指す。この乗り換えのポイントは、ここから上でも下でも谷が狭まって登り上げることが難しい、隙間を突いたような絶妙なポイント。YAMADAさんが湯ノ谷を訪ねた記録を何度も読み返して叩き込んでおいたところである。
稜線には「七倉山」方面を目指したと思われるツボ足のトレースが続いており幽かに人の気配を感じる。白山、別山の大展望を楽しみながら歩き、白山釈迦岳でいましがた滑ってきた湯ノ谷を振り返って目を細める。だが今日はこれで終わりではない。
白山釈迦岳の山頂からは「丸岡谷」に入ってみる。湯ノ谷より心もちコンパクトで等高線も密でまた雰囲気の違う谷。ところが慣れてしばらく経って200m強ほど下った標高1760m付近で滝が出ているのを見かける。右岸の支流の様子も見てみるがどうも岩が露出しており悪そう。ここは素直に登り返して尾根に乗り換えたほうが賢明だろう。川岸の斜面を笹薮をつかみながらの登り返し。標高差60mがやけに長く感じられる、忍耐を試される場面だった。
尾根からは快適なブナ林へ。丸岡谷の沢の音から適度に離れるよう心がけておけば快適なツリーランを楽しむことができる。
雪は次第にか細くなり標高1380m付近でスキーを担いで登山道を下る。登山口からはダートの林道。雪は全くなくあとは約3kmを市ノ瀬に向けて歩くのみ。市ノ瀬に停めてある車のもとには出発から10時間後に到着。長らく気になっていたルートをなんとか無事にトレースすることができた。
帰りは「白山白峰温泉 桑島総湯」で静かな温泉の雰囲気に浸り、福井でカレーバイキングを心ゆくまで食して高速道路で22時には自宅着。
贅沢な一日が終わった。
おわりに
今回訪ねた白山の湯ノ谷、山スキーを始めて間もない頃から気になり続けていた場所だった。
無事に歩かせてくれた山の神様、そして素晴らしいルートがあることを教えてくれた先人の方々に感謝しよう。
コースタイム
- 5:20 市ノ瀬駐車場(890m)
- 6:30 別当出合(1260m)
- 7:25 中飯場(1550m)
- 8:25-8:30 甚之助ヒュッテ(1960m)
- 9:45-10:00 室堂(2440m)
- 10:30 御前峰の肩(2670m)
- 11:12-11:28 大汝山(2684m)
- 11:33 滑降開始(2640m)
- 12:13-12:28 尾根への乗り換え地点(1840m)
- 12:45 稜線(1960m)
- 13:07-13:18 白山釈迦岳(2063m)
- 13:30 丸岡谷で滝の出ている箇所。尾根に登り返し(1760m)
- 13:45 尾根に乗り換え完了(1830m)
- 14:20 雪が途切れたためスキーを担ぐ(1360m)
- 14:34 登山口(1130m)
- 15:19 市ノ瀬駐車場(890m)
メンバー
単独