アバランチナイト大阪(雪崩の講演会)

雪の山を安全に楽しむために知っておきたいこと。
12月15日(月)、大阪で開かれた集いに参加してきました。

講師は「日本雪崩ネットワーク」の出川あずさ氏。
以下、印象に残ったところを箇条書きでメモしておきます。

前半:雪崩についての基礎知識

前半は、実際に雪崩が起きた動画を見ながら基礎知識を教えていただきました。

意思決定
  • 考えておきたいのは「自然のコンディションを把握」→「行動の選択肢を考える」→「意思決定」
    • 行動に際しては常にマージン(余力)を残しておくこと。
    • 「行くしかない」は無謀。
    • これからとる行動にはどのようなリスクがあるか。自分の力量を見極めてから行くこと。
雪崩の起きやすい条件
  • 斜度が38度から45度のゾーンで起きる雪崩が70%。
    • スキーヤーにとって最も魅力的な斜面で、皮肉にも事故が高い確率で発生する。
  • 雪崩の起きやすい方位は、北斜面と東斜面でそれぞれ40%。
    • 日射の影響が少なく、コンディションが長い期間保持されるため。
    • パウダー狙いで滑るスキーヤーが多いことも影響している模様。
予兆を知る
  • 弱層テストを滑る直前にだけ行うことに、あまり意味はない。
    • 継続的にルートを観察して、変化を意識するように。
  • 雪のついた斜面の状態を5段階で表すと「Very Good → Good → Fair → Poor → Very Poor」
    • じつは、雪崩が起きたコンディションは「Fair」と判断されたときが多い。
    • 「Fair」は、見方によっては安全、別の見方をすれば危険、というグレーゾーン。
    • 「Fair」の条件で、同じルートを数十回滑ったことのあるプロガイドでも事故に巻き込まれてしまうことがある。
  • 気象情報に「強い」「急」などといった形容詞のついたときは、雪が安定してないと見て間違いない。安易な入山は控えること。
雪崩が起きたら
  • 「叫ぶ(ホイッスルを鳴らす)」→「逃げる」→「口を覆う」
    • 周りの注意をひきつける。
    • 「逃げる」というより「埋もれない努力をする」。もがく。
仲間が雪崩に埋もれたら
  • 雪崩の死亡原因の65%は窒息、25%は岩や木への激突、10%は低体温症。
    • 雪崩に埋もれて15分までだと高い確率で救出可能(70%)。30分を過ぎると急速に生存率が低くなる。
    • 雪山のマストアイテム(ビーコン・ゾンデ・スコップ)は「自分が助かるため、というより、人に迷惑をかけないために身に着けておかねばならない道具」。

後半:2007-2008シーズンの雪崩事故の事例

後半は、昨シーズンに起きた雪崩事故の解説がなされました。

おまけ

自分が何をもって「安全」と判断しているのか、もしものときにはどうすればいいのか。
このあたりは、しつこく実践していかないと確かにはならないものなのでしょう。

雪山100のリスク

雪山100のリスク

で、帰りの本屋でつい手を伸ばしてしまいました。
今シーズンも、無理のないペースで雪の山に親しむことができればよいのですが…。