こんな本読んだ - 『ウェブがわかる本』
- 作者: 大向一輝
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2007/04/26
- メディア: 新書
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ウェブの黎明期からドットコムバブル崩壊、Google誕生、ウェブ2.0に至るまでの流れをわかりやすく解説されています。
ウェブを形づくるしくみ
「ウェブで共有とコミュニケーションをする時代」の象徴として「ブログ、SNS、集合知、検索」をピックアップ。
ウェブに参加する敷居が低くなって起きたことは。
自分にとってのあたりまえが予想以上に価値のあるものだということを、他人を通して知る(中略)
さらには、自分の情報を共有しておくと、ほかの人が「こういう考え方もあるよ」と違う知識を教えてくれたり、さらに深い知識をまわりの人から得られることがあります。(69ページ)
従来のパソコン通信や電子掲示板などとSNSの違いについて。
mixiの足あとを時として「待ったなしで濃い」と感じる理由は。
SNSでは読むだけの人もプロフィールを持っていて、その人が何かをすれば足あととして記録に残ります。(77ページ)
オープンなブログとクローズドなSNSを使い分けるにあたって。
ネットでの「公私」があるとするならば。
誰もが読んでもいいもの、知らない人も見ると役に立つだろうというものはブログに書き、友達だけに伝えたいことはSNSで書く(80ページ)
ウィキペディアに大勢の人が集まるのは
自分が表現した知識が、誰かの役に立つということが実感できるから(84ページ)
「みんなで評価する」ソーシャルブックマークがユニークなのは
自分が好きなようにやっていることが結果的にみんなの役に立っている(ところ)(88ページ)
人間の仕事って?
情報収集をウェブに任せたあとは、余った時間をどう使えばよいのでしょうか。
何を調べるべきか、調べたものをどう組み合わせるかを考えるために時間を使ってください。いまのところ、ウェブには、自分で何かを考える機能はありません。人間の仕事は、考えることにあるのです。(134ページ)
インターネットの普及によって「学習の高速道路と大渋滞」が起きたと羽生善治氏が以前語っていたのを思い出しました。
ウェブとつきあうためのスキル
最後に、情報とどのように出会い、判断し伝えるかを実践するスキルを4つに分類します。
- 見つけるスキル
- 検索エンジンから知を引き出すためには、自分自身の語彙を豊かにして新しいキーワードを増やしていかねばならないという話。
- 判断するスキル
- ウェブでおもしろい意見に出会ったときは、ガチなのか釣りなのか周りから判断して見極めようという話。
- 伝えるスキル
- 誰に向かって文章を書くのか、普段から意識しておこうという話。
- コミュニケーションのスキル
- ウェブに散らばった情報を集めながら、中の人がどんな人かをじっくり観察しようという話。
おまけ
対象を中学生から高校生としているためか、画面のハードコピーや図表をふんだんに取り入れており、これからウェブに触れようとする人でも具体的にサービスをイメージしやすいよう工夫されています。
平易な言葉でかみ砕いた文章もあいまって、今のネットで起きている動きを素早くおさらいしておくのにうってつけ。
ジュニア新書といって決して侮るなかれ。
ところでこの本で掲載されているはてブのエントリーページ*2の図表に自分のブックマークコメントを見つけて一人本屋で小躍りしてしまったのですが、それはまた別の話。
*1:はてなダイアリーでもd:id:i2kのIDで日記を書いておられます。
*2:ブックマーク元の記事は「人力検索はてな - 「これはすごい」と思う集合知のサイトを教えてください。」。図表は100ページに貼り付けられています。