北アルプス 朝日岳(山スキー+自転車)

5月12日(土)、北アルプス朝日岳の様子を蓮華温泉から山スキーMTBを使って見てきました。
2003年にYASUHIRO氏の報告を読んで以来秘かに気になっていたルートを、無風の快晴という条件で日帰りすることができました。
メンバーは単独です。

GPSログ(クリックで拡大)

  • 赤が登り、紫が下りのログ。
  • 歩き始めた地点(蓮華温泉)から朝日岳山頂を往復したログのみ掲載しています。
  • 車を停めた「ヒワ平」から「蓮華温泉」までの林道8kmは、MTBでアプローチしました。
  • 朝日岳の北側鞍部〜山頂付近はGPSの信号が大幅に乱れたため、その部分はログをカットしてあります。

記録と所感

2007年5月11日(金)
  • 21:00 ヒワ平(国道148号を平岩で西に曲がり、蓮華温泉方面へ15km程度登った場所)
    • この日運良く代休をいただけた。昼前に自宅を出て半日かけて北陸経由で糸魚川へ。
    • 車で入れたのは木地屋の集落から8km進んだ「ヒワ平」まで。ゲートのそばの広い駐車場に車を停めて自転車を組み立てたあとしばらく仮眠。満天の星空が眩しい。
2007年5月12日(土)


瀬戸川の橋。雪はほとんどない。

白高地沢のスノーブリッジ。恐る恐る渡った。

白高地沢の上流を見遣る。このとき雪はつながっていないように思えた。

スキーを担いで藪こぎを終えると、突然展望が開けた。五輪尾根1550m付近。

カールに降り立ち北側の鞍部を目指す。

朝日岳山頂。なんとか登らせてもらえた。

火打山・焼山の堂々たる姿。

彼方に剱岳

鞍部に向けて滑る。尾根は思ったより急だった。

このカールを滑っていく。背景は頸城の山々。

重いシュプール

朝日岳正面ルンゼを望む。

兵馬ノ平。向こうは小蓮華山。

蓮華温泉は、森も立派。

あの山のてっぺんから滑ってきたんだ。

さて、帰りますか。

お疲れ様でした。

  • 3:00 起床
    • 粛々と準備、予報通り今日は晴れそうだ。
  • 3:45 ヒワ平(1200m)
    • ここから蓮華温泉までの8kmはMTBでアプローチ。
    • スタートしていきなりヘアピンの急坂。全開で登り切ると軽い酸欠状態になったのか吐き気を催して道端に座り込む。いかんいかん、今日のルートは登り返しもあるし体力は温存しておかなければならないのだ。はやる気持ちを一旦落ち着かせる。
    • ヤッホー平を過ぎてタイヤが突然滑って転けそうになる。道端にあふれ出た雪解け水がどうやら夜中は凍っているようだ。濡れたように見える路面ではMTBを降りて慎重に歩く。
    • 林道の後半は緩いアップダウンが続く。除雪は蓮華温泉まで終わっておりMTBも無事乗り入れることができた。
  • 5:00-5:15 蓮華温泉(1470m)
    • ヘッドランプが要らなくなった頃蓮華温泉に到着。登山客の気配はしない。小屋の倉庫の裏にMTBをデポしておく。
    • まだ真っ白な雪倉岳朝日岳を正面に望む。今日目指すのは朝日岳だ。
  • 5:45 兵馬ノ平(1350m)
    • 蓮華温泉キャンプ場から湿原「兵馬ノ平」を通って瀬戸川の橋まで標高差300m弱を下る。雪解けは思った以上に進んでいるようで、所々木橋が露出しておりスキーは担いだまま歩く。夏道沿いには随所にピンクのテープで示されておりルートを見失うことはない。
  • 6:20-6:28 瀬戸川の橋(1180m)
    • 雪解け水が溢れんばかりに流れている。橋はコンクリートの橋脚に溝蓋が被せられたしっかりしたもので安心して渡れる。
  • 7:20-7:35 白高地沢徒渉点(1350m)
    • ヒョウタン池を過ぎて緩やかに白高地沢の右岸に降り立つ。支流にしては思った以上に勢いよく水が流れている。
    • 蓮華温泉からここまで、事前に目を通してきた記録に比べるとずいぶん雪が少ない。上の状態がわからないまま登山道のないところを詰めるとひどい藪こぎを強いられるかもしれない。ここは多少面倒でも夏道沿いにルートを取るほうが確実ではないかと判断する。
    • 夏道のペンキに導かれるように徒渉点へ。ここだけ見事にスノーブリッジがつながっている。人が一人渡る分にはまだ十分な厚みがあると見てそろりと通過。ただ気温が上がった昼以降は微妙な感じ。渡り終えたところで一服する。
  • 8:55-9:05 五輪尾根1753P
    • しばらく夏道の「五輪尾根」をトレースしてみる。1400〜1450mあたりは等高線が密で藪も濃い。ルートから微妙に外れたようで担いだスキーが頻繁に藪に引っかかりみるみる眉間にしわを寄せる。このルート、できれば帰りは遠慮したい。
    • 1470m付近からようやく雪がつながり初めてスキーを履く。これまで難儀させられた藪が姿を消して無木立の尾根に。なんだか突然アルペンチックになってきた。
  • 9:45 五輪尾根1983P
    • 五輪尾根をそのまま詰めると五輪山〜長栂山をたどるため、朝日岳を目指すには大幅なタイムロスになってしまう。五輪尾根1983ピークを過ぎたあたりで尾根を離れ山腹をトラバースし朝日岳山頂直下のカール状地形を目指す。三方を真っ白な斜面に囲まれたカールに降り立つと、ようやく北アルプスに来た確かな感触をつかめたようだった。
    • 標高2050mを超えた岩陰で一休み。南の斜面を観察するとどうやら雪は下までつながっていそうな感じだ。
  • 10:50 長栂山と朝日岳の鞍部(2200m)
    • カールの緩やかな斜面を北に巻くようにして朝日岳北面の鞍部へ。頸城の火打山・焼山がくっきり見える。おまけに日本海も。真っ白な尾根をじりじり登って山頂へ。このあたりでGPSの電波がなぜか大幅に乱れる。
  • 11:25-11:55 朝日岳山頂(2418m)
    • ヒワ平のゲートを出発して7時間40分で山頂に導かれる。
    • 誰もいない無風の山頂で白馬・剱・毛勝・頸城の展望を独り占め。行動食を頬張り気力を漲らせて滑降の準備へ。カールで確認したとおり快適そうな南面を滑ることにする。
  • 12:09 赤男山と朝日岳の鞍部(2060m)
    • 朝日岳南東の尾根を鞍部まで標高差約400m滑る。思った以上に斜面は急なようで、上から覗き込むだけでは下に何があるか見えない。時折シュルンドが口を開けている箇所があり、慎重に鞍部まで下る。
    • 鞍部の真ん中だけ雪庇が溶けてなくなっていた。ここからカールに緩やかに滑り降りる。
    • 昼を過ぎた雪はさすがに重い。台地に降り立つと傾斜はいよいよ緩くなりストックで漕ぎながらの直滑降となる。
    • 開放感あふれるカールの中で後ろを振り返る。朝日岳東面の最も急峻なルンゼの入口には雪庇がまだ張り出していた。
  • 13:00-13:15 ヒョウタン池(1350m)
    • カールの縁をなぞるように滑れば、白高地沢は右岸沿いにやり過ごすことができた。登りもこのルートでよかったかもしれないと後になって思う。
    • 雪をうまく拾ってヒョウタン池まで滑る。登りのルートに合流したことをを確認すればスキーは担いで夏道のテープを目印に進むのみ。
  • 13:50-13:55 瀬戸川の橋(1180m)
    • さてここから蓮華温泉まで標高差300mの登り返し。まだ体力は大丈夫。
  • 14:23 兵馬ノ平(1350m)
    • 朝に通ったときよりも雪解けが心なしか進んでいるのだろうか。水芭蕉が軒並み雪の中から姿を現し始めたように見える。
  • 15:30-15:43 蓮華温泉(1470m)
    • キャンプ場を過ぎてようやく蓮華温泉の小屋に戻ってきた。
    • 朝日岳の山頂を振り返って目を細める。あの山のてっぺんから滑ってきたんだ。
    • MTBにまたがってしばらく緩い登りをやり過ごす。朝のように凍った林道を恐る恐る歩く必要がないと思えば気持ちもずいぶん楽である。
  • 16:15 ヒワ平(1200m)
    • 12時間半かかったが、残雪期の朝日岳をなんとか日帰りで往復することができた。今回も無事に登らせてくれた山の神様に感謝しよう。
    • 蓮華温泉に徒歩で入浴しに来た方が一人いらっしゃった。新潟・岐阜の温泉と道の駅の話で思わず盛り上がる。
  • 18:30 糸魚川市
    • 今回は少しくらい自分をねぎらってやってもいいだろう。これまで糸魚川を通るたびに気になり続けていた寿司屋「すし活」へ車を走らせる。
    • 暖簾をくぐるなり「山の帰りですか?」と尋ねられる。そういえば日焼け止めを塗るのを今回は忘れてしまっていた。やはり山の帰りに立ち寄る方が大勢いらっしゃるとのこと。また訪ねることを胸にして帰路に就く。
    • だがここからが今回の核心だった。これまで張りつめていた緊張を緩めると睡魔が一気に襲いかかってきた。冴えていた頭が突然鉛のように重くなる。道の駅やコンビニでシートを倒して仮眠するとあっという間に30分、1時間が過ぎていく。
2007年5月13日(日)
  • 6:00 自宅
    • 結局自宅に着いたのは翌朝6時。今回もよく遊びました。