向こうにいる人は、どんな人?〜記事から人に興味が移るとき

その日一日の仕事を終えたあとの楽しみのひとつに、本屋に足を向けることがある。
ネットで研ぎ澄ませてきた好奇心やアンテナを奮わせることのできるこのときは、僕にとっては貴重なお楽しみの時間だ。

僕が本を選ぶとき

新聞や雑誌の書評、本屋の書棚を巡りながら、面白そうな本に目星をつける。
書かれていることに時には頷き、時には疑いながら同じジャンルの本を濫読していけば、しばらくすると自分好みのことを書いている著者が次第にわかってくる。
「この人の書く本なら、間違いなく面白い」。
気になる作家が新しい著作を出したとき、真っ先に向かうのはその作家の本が並ぶ本棚だ。
「そうなのか」「これ以上読んでしまうと、勿体ないかもしれない」
時間を忘れて立ち読みしてしまいそうなはやる気持ちを抑えながら、まるで子どもが見つけた宝物を全身で覆い隠すように、レジに向かう。

好きなサイトに出会うまで

以前は本屋めぐりに費やしていた時間の多くを、今僕はネットに費やしている。
ブログを定期的に読むようになってまだ1年も経っていないが、この前本屋に久しぶりに足を向けて心が浮き足立つのを感じながら、同じような感覚をネット上でも味わっているのではないかという気がした。
気になるブログに出会うきっかけは、お気に入りのブックマーカーがブクマしていた記事、雑誌やサイトでの紹介から始まる。
人づてに聞いてサイトにアクセスしたときは、興味は記事にとどまっていて作者やサイトにまでは及んでいない。
僕がブログそのものに興味を覚えるのは、同じブログから繰り返してブックマークしたことに気づいたときだ。
「ああ、前にもこのブログからブクマしたよなあ」「立ち止まらせることを書くような人は、いったいどんな人なんだろう」
記事だけでなく、向こうで書いている人に思いを巡らせたとき、僕はそのブログをRSSリーダーに登録する。
「この人の書く記事なら深く考えるきっかけがもらえる」「あの人の記事を読むとモチベーションが刺激される」
ひとつ、またひとつフィードを登録しているうちに、購読しているブログの数も簡単にはチェックしきれないほど増えてきた。
それでも、1日の終わりに未読をドキドキしながらチェックする時間が、今は秘かに楽しい。

その人を知りたくてブログを読む

役に立つ情報や面白いネタを仕入れる限りでは、ブログはPermalink読切であるほうが身軽だと思う。
ただ、自分の考えをめぐらせながら通う場所は、書いている「人」に興味を持って読んでいたい。
情報の海をたゆたったあとにたどり着く、自分自身が落ち着ける場所。
取り扱う話題はそのときの空気で少しずつ変わっていくとしても、その人が何を見据えてメッセージを送っているかを、僕は知りたい。
心を微かに揺らしながら記事を書いたときの感情を、時間を超えて共有したい。
ウェブ越しで見ているあなたの姿が、たとえ幻で夢であったとしても。

関連する記事

この記事を書くまでに心に残ったブログ論を挙げておきます。

サイトとの出会いには、運命とも言える偶然ストーリーがありませんでしたか?
その出会いを、これからも、大切に。
304 Not Modified: サイトを巡回リストに入れるとき

作品から著者に興味が移るときと、記事からサイトに興味が移るシチュエーションは似ていると思いました。

ただ長期間その人の文章を読んでいると一貫した何かがたいていある。それを理解できるかどうかは別として、存在している、と思う。その一貫した先にあるものが、その人の一番語りたいことなんじゃないかな。
Say::So? - 心に深く入りすぎている問題は書く人を消耗させるから

気になる人がその先に見据えているものを知りたい。これを知ることができればブログを10倍は深く楽しめるのではないかと思いました。

自分の書きたい事「だけ」を書く事だけが本来的な目的であるのだと仮定したならウエブログという場に於いて固定的なハンドルネームで書き続けている事にどれだけの意味があるのか、ちょっとだけわからなくなったのも事実。
煩悩是道場 - 継続していく事が魅力なのではない

こうやって固定したハンドルネームで雑文を書きながら、自分を理解してくれる人にどこかで会いたいと願っているのかなあと思いました。