三方崩山(平瀬から往復)


白山のすぐそばにある展望台に立ち寄ってみました。半日コースの山にしてはなかなか登り応えのある山でした。

コースタイム

  • 4:00 道の駅荘川で起床
  • 5:10 しらみずの湯 駐車場
  • 5:30-6:30 標高800m付近で足止め
  • 6:40 三方崩山登山口
  • 9:25-9:37 三方崩山山頂
  • 11:09 三方崩山登山口
  • 11:28 しらみずの湯 駐車場

かんたんな所感

道の駅荘川で4時に目覚め、昨夜高山で仕入れたパンを掻き込んで15kmあまり北上。登山口である平瀬の「しらみずの湯」駐車場に車を置いて、星空の下でヘッドランプを点けて林道を歩き始める。
歩き始めて20分後、標高は800mを過ぎたあたり。カーブの向こうから物影の動く音がする。ああ、こんな早い時間から人が登っているのかと思ったが、ライトも点けていないし様子が変だ。耳を澄ませて聞こえてきたのは、茂みを無雑作にかき分ける音と爪を木の幹に掻き立てる音。これは人間ではない。途端に青ざめて後ずさりする。鳥にしては立てる音が不自然に動物臭い気もする。向こうにいるのは猿だろうか、それとも、熊だろうか。ばったり顔を合わせて襲いかかられても、今日はピッケルを車に置いてきたので戦うことはできない。どうしよう。小石を叢に投げて反応をうかがう。どうもこちらには気づいている気配はないようだ。だが暗闇ではどう見てもこちらに分が悪い。少し下ったところでザックを下ろして座り込み夜明けを待つ。30分もすれば空が白んできた。意を決して再度カーブにさしかかる。人間が通ることを伝えるためにカーブの手前で大声を出す。何もいないかもしれない向こうに向かってけたたましく叫び続ける光景は端から見ればさぞ滑稽だったであろう。恐る恐るカーブを通り過ぎる。そこで見たのは意外なものだった。

真っ暗だったときは見えなかった簡易水道のパイプが不自然に震えて「爪が擦れているような音」を出していたのだった。暗がりで何も見えなかったゆえに、必要以上に物音を警戒していたのだ。一気に脱力する。まあ単独の場合は慎重すぎるほどでちょうど良いのだろう。このポイントで1時間を費やしてしまった。
気を取り直して登山口へ。稜線の取り付きまではジグザグの登り、稜線に出てからも休む場もない急な登りが続く。昨日の白山が標高差1440mを8.0kmで登るならば、この三方崩は標高差1440mを5.8kmで登る。道理で休む場所がないわけだ。
登山の地図では点線で表記されているが、整備されていて歩きやすい。1kmごとに距離を示す道標が建っており退屈はしない。
稜線に登るとがれたピークが姿を見せる。白山の前衛で片付けてしまうには惜しい風貌だ。数ヶ所通るやせた稜線は高度感も抜群だ。
 
最後は小ピークを数回アップダウンして山頂に導かれる。山頂ではあいにくガスが張り出してしまっていた。

さらに西に行けば、奥三方岳、白山の主稜線上のピーク・間名古の頭へと続く。北アルプスに劣らず白山のエリアもまた、簡単には味わい尽くせないほど広い。
帰りは快適に下る。誰にも会うことはないだろうと思っていたが4組くらいの中高年ハイカーとすれ違う。
時折立ち止まって目の前に広がる風景をファインダにおさめながら下る。南方には御母衣ダムのダム湖を確認できる。

出発のとき1時間のロスはあったが、午前中に何とか車に戻れた。
「しらみずの湯」に入っても良かったのだが、気乗りせず*1そのまま帰る。
滋賀県内まで下道を流し、有料道路に乗って夕食の時間までになんとか自宅にたどり着いた。

メモ

三方崩山が気になっていたのは、雪のある時期にスキーで訪ねたいと密かに考えているからである。
登りながら面白そうな斜面だと思い写真を撮りまくっていた南側斜面。あとで調べてみると「大ノマ谷」というルンゼであることを知った。2月にここを滑った記録によると、この谷は雪崩れやすくデブリの多い斜面とのこと。南向きの斜面だから、雪が緩むのも早いということだろう。滝も途中でいくつか出ているようで、どちらかといえばエクストリーム指向の斜面なのかもしれない。
 
この山をスキーで目指そうとするなら、まずは北の「弓ヶ洞谷」を詰めるのがよいかもしれない。検索するといくつか記録が出てくる。例年は4月でも雪があるようだけど、暖冬と予想される今年はどうなのかな。

*1:平瀬温泉がそこに湧き出している湯ではなく、13km上流の大白川温泉から源泉を引いていることを知ってしまったことと、入浴料が600円と僕の金銭感覚の閾値に微妙に引っかかることが原因だと思われる