鉄道ジャーナル 1989年からの夜行列車特集をまとめてみた

鉄道趣味誌のひとつである「鉄道ジャーナル」が最近マンネリ化している*1との記事をWikipediaの解説をはじめいくつかのブログで読んだ。
僕自身、同じ特集であっても「今年もこの特集が読めるのか」と安堵するほどで、いかにも保守的な読者ということが知れてしまいそうなのだが、先日鉄道ジャーナルの夜行列車特集のレビューを書いていたこともあるので、この機会に夜行列車を特集にとりあげたバックナンバーがどの程度あるか、本棚を引っ張り出して遡れる限り書き留めてみようと思った。

鉄道ジャーナル」誌の夜行列車特集の一覧及び特集で取り上げられた列車(1989年〜2006年)

年月 特集名 取り上げられた列車 現存*2
1989年10月号 ブルー・トレイン'89 トワイライトエクスプレス(大阪〜札幌)
北陸(上野〜金沢)
1991年10月号 転換期のブルー・トレイン あさかぜ4号(博多〜東京) -
あおもり(大阪〜青森)
利尻(札幌〜稚内 -
1992年7月号 現代夜行列車事情 はくつる(上野〜青森) -
だいせん(大阪〜出雲市 -
中央東線1521M〜421M(新宿〜松本) -
1994年8月号 岐路に立つ夜行列車の現実 はやぶさ(東京〜西鹿児島
銀河(東京〜大阪)
きたぐに(大阪〜新潟)
1995年10月号 夜行列車 光と影 あかつき(京都〜長崎)
紀勢本線2921M(新大阪〜新宮) -
はまなす(札幌〜青森)
ミッドナイト(札幌〜函館) -
おおぞら13号(札幌〜釧路)
オホーツク9号(札幌〜網走) -
利尻(札幌〜稚内 -
1996年10月号 夜行列車の旅路'96 日本海1号(大阪〜函館)
ちくま(長野〜大阪) -
ムーンライト松山(京都〜松山)
1997年4月号 ブルー・トレイン'97 あけぼの(上野〜青森)
彗星(新大阪〜南宮崎 -
1997年10月号 寝台車 現状とこれから 出雲2号(出雲市〜東京) -
はまなす(青森〜札幌)
1998年10月号 サンライズエクスプレス 発車! サンライズ出雲(東京〜出雲市
きたぐに(新潟〜大阪)
北斗星4号(札幌〜上野)
1999年10月号 寝台特急カシオペア カシオペア(東京〜札幌)
富士(東京〜大分)
2000年10月号 午前2時の鉄路 あけぼの(上野〜青森)
だいせん(大阪〜米子) -
2002年7月号 寝台特急の明日 トワイライトエクスプレス(大阪〜札幌)
あさかぜ(東京〜下関) -
2003年10月号 2003夏の夜行列車 さくら(東京〜長崎) -
ムーンライトながら91号(東京〜大垣)
2005年7月号 夏こそ夜行列車 あけぼの(上野〜青森)
はまなす(青森〜札幌)
2006年10月号 夜行列車を考える 富士(東京〜大分)
銀河(大阪〜東京)
ムーンライトえちご(新宿〜新潟)

毎年3回しか出せない特大号や、発行の節目となる記念号*3に夜行列車の特集を持ってくるあたり、鉄道ジャーナル社の編集部がいかに夜行列車を愛しているかがわかる。「ジャーナリスティックに鉄道をとらえるという題目」以前に、なぜ鉄道誌の編集者を志したのか、アイデンティティに直接触れる魅力のようなものを夜行列車が有している、ととらえることもできそうだ。
特集号には毎号夜行列車の将来を展望する記事が書かれいて、夜行列車が経営上の負担になっているのではないかと憂う記述が一貫して見られる。12年前の1994年には既に車両の老朽化対策が指摘されており*4、11年前には21世紀に夜行列車は果たして残るのか*5といった問題提起すらなされている。
夜行列車は風前の灯火である。遠出する機会があれば、多少値段は張ってもまだ現役の夜行列車に乗って昭和の記憶に触れてみるのも、悪くはなさそうだ。

*1:確かに、新幹線、首都圏、京阪神ブルートレイン、ローカル線の特集は定期的にローテーションが組まれている感がある

*2:現在も取り上げられた区間で運行されている列車は「○」、運行区間が縮小されている場合は「△」、廃止されたり臨時列車に格下げされている場合は「-」を付した。臨時列車の場合は曖昧な部分がある。

*3:1991年10月号は、創刊以来400号の超特大号

*4:1994年8月号

*5:1995年10月号