飯豊川本流での沢登り中の遭難死亡事故を聞いて

山岳会の人から、東北の飯豊川本流(いいでがわほんりゅう)で遭難事故があったことを教えてもらった。

水難事故:登山客の男性が川に流され死亡−−新発田・飯豊川 /新潟:MSN毎日インタラクティブ
毎日新聞、8月16日の記事より。
ROCK & ICE WORLD
事故に遭ったパーティのメンバーが開設していると思われるウェブサイト。トップページには、今回の事故に関する記載がある(8月19日現在)。
山道を行く 【遭難カルテ102】 飯豊川で男性死亡
山岳遭難を鋭い切り口から分析しているブログから。

死亡したのは46歳の男性。原因は水死。徒渉中ロープを手から放して本流に50m流されたとのこと。
4名パーティ、山岳会の名称はわらじの仲間
沢登りを志す全国の山岳会の目標とされており、50年近い歴史のなかで一貫して飯豊の沢にこだわり続けている「わらじの仲間」がなぜ、という思いももちろんあるのだが、もしかしたら自分たちがここを溯行していたかもしれなかったことから感じる畏れがこの記事を書かせている。
先週飯豊の沢をなんとか登らせてもらったばかりなのだけど、雪が例年になく多い、ということで流れの強い飯豊川本流を避けて飯豊では易しい部類に入るといわれる頼母木(たもぎ)川にした、という経緯があったからだ。
道迷いで沢に入り込んで遭難、経験が足りずに遭難、という事例は毎年いくつか耳にするが、手練の経験者が沢で死亡事故を起こす話はあまり聞いたことがない。
どのような状況下でロープを放さざるを得なかったのか、もう少し続報に注目しておきたい。
故人のご冥福をお祈りいたします。

関連する情報

飯豊川本流は、飯豊連峰最大の渓谷であり、日本を代表する大渓谷とされている。名を成したクライマーの思い入れあるルートをまとめた『日本の登山家が愛したルート50』にも「飯豊川本流」が含まれている。少しだけウェブで記録を拾ってみた。

山と遊ぼう!:飯豊川洗濯沢清十郎沢
1998年8月、飯豊川本流から洗濯沢という支流を溯行した記録。今回の遭難事故も、洗濯沢を溯行する予定だったと思われる(洗濯沢を詰め上げたところにある山が「北股岳」という山のため)。増水で沢に入る日を一日遅らせている。条件はよかったようだ。
ひぐらし:飯豊川本流
2005年8月〜9月、飯豊川本流を上流まで溯行した記録。雪渓の状態が悪く途中で藪こぎで稜線に詰め上げている。「13時間のヤブコギ」「ボロボロになれる」の記述。沢登りをやっててよかったと心の底から歓んでいる様子が伝わってくる。写真が豊富。
北海道と越後の山: 飯豊川本流 昭和56年8月13日から15日 越稜山岳会会山行
1981年8月の記録をリライトしたもの。この年も例年になく雪が多かったようで「雪渓の長さは3km近くあったのではないか。水は昨年と比較にならないほど冷たく、一回渡しょうするだけで足がしびれた。」との記述がある。