大峰 白川又川 岩屋谷(沢登り)1日目

先週の奥ノ深谷に引き続き、この土日は紀伊半島に沢登りに出かけた。
行先は大峰の白川又(しらこまた)水系の「岩屋谷」。短いながらも途中に高さ70mの雌滝(めだき)と高さ130mの雄滝(おだき)を内蔵する、紀伊半島のあまたある谷の中でも銘渓に数えられる沢という*1沢登りのグレードならば3級+〜4級-程度の、中級者向けにあたる。
メンバーは、いつも刺激を与えていただいているA氏をリーダーに、女性2人を含めて7名。
金曜、職場の歓迎会を途中で切り上げて、あわただしく京都を発った。

報告と所感

22時半に京都駅に集合、車2台に分かれて出発。23時40分木津駅。大和郡山〜橿原間は京奈和自動車道が暫定的に無料開放中、80km/hで巡航できる。橿原からは国道169号線を快適に南下するのみ。思ったより早く2時前に「道の駅上北山」に到着。車とテントに分かれてで3時間仮眠。
7月1日は5時起床、白川又橋で林道にスイッチ、少しばかり走って7時前に岩屋谷の脇の橋に車を停めて入溪。
しばらく水が涸れた河原歩き、小一時間のウォーミングアップを終えたところで5mナメ滝のへつり。ここはY君リード。足場が細かくぬめっており早々に緊張を強いられる。残置の縄が精神安定剤となる。
苔でぬめって陰鬱と思わせる区間もあれば白い岩と突き抜ける空で開放感を味わわせてくれる箇所もある。岩に落ちる山ツツジの花びら。風流なり。
雌滝の手前までは巻かずに登れる滝が続く。1箇所僕がリードで左岸から右岸へ滝裏をくぐって抜ける。抜け口が思った以上に狭く、膝をおもむろに岩に打ち付けてしまった。
核心の雌滝の手前、10mCS(チョックストン)滝。右岸を巻いたが取っ掛かりの壁が取り付きにくかった。A氏が空荷でリードでザイルをFIX、僕たちはザイルを引っ張る「ゴボウ」で登ったが、自分がリーダーならここはどう攻略しただろうか。スリングを投げ縄して引っかけて強引に登るか、空荷でとにかくチャレンジしてみるか、手前に戻って大高巻きか。リーダーならばこういった渋い場面での迅速な判断が求められるだろう。
やがて岩屋谷のハイライト、雌滝70m、雄滝130mへ。
雌滝が「やさしく降り注ぐ」ならば、雄滝は「蕩々と流れ落ちる」印象。滝の落ち口まで足を運んで記念撮影。この短い谷に、見上げるだけでは全貌を掴めないほどの大滝が内蔵されているとは。これらの滝はいずれも右岸から確実に巻くことができた。ただ雄滝の巻きの最後はかぶり気味の壁を乗り越す必要があり、少し緊張した。
雄滝を巻き終えた落ち口の近くでちょうどよいテン場を見つけ、幕とする。行動を開始してから10時間が過ぎていた。
沢装備を解き、焚き火用に薪を集め、ツエルトを設営、夕食の準備に分かれる。木の枝が豊富にあるのでツエルトの設営には困らない。ザイルを木で固定してツエルトを被せ、スリングとカラビナで位置を調整する。ようやく設営のしかたにも慣れてきたのだろうか。
夕食は、女性2人がこしらえてくれた「豆乳鍋」。豆乳をベースにショウガで味付け、餃子、ラーメン、豚を放り込んだもので空腹を十分に満たしてくれた。
焚き火に火を点し服を乾かし、おつまみをつまんで談笑すればやがて緊張も穏やかな満足感に変わっていく。
心配していた雨もない。森の冷気を浴びながら、暗闇のなかに溶けていく。

*1:写真は雄滝。A氏撮影