鉄道ジャーナル 2006年7月号

特集は「JR東京圏輸送の現状」。そういえば鉄道ジャーナルが首都圏の特集を組むとすぐに絶版になる。

特集「JR東京圏輸送の現状」

首都圏の車両の数はJRだけで8,000両超。103系113系といった鋼製の通勤車両はほとんど姿を消し、今や201系すら置き換えの対象。
乗客の絶対数の多い首都圏では、通勤時間帯に着席できることが付加価値になる。これまでの東海道線横須賀線に加えて高崎線東北本線常磐線普通列車にもグリーン車連結の動き。かつての通勤ライナーは通勤圏が拡大したことで通勤特急に発展。クロスシートに座って悠々通勤できる近畿圏とはまるで事情が異なる。
近年次々と登場する通勤・近郊型電車の形式とプロフィールがさすがに一致しなくなってきた。E231系は通勤型(山手線・中央線緩行・常磐線快速)と近郊型(東海道線)がある、209系の次世代バージョンとしてE331系がデビュー、常磐線中距離電車にデビューするE531系… 近郊型でもクロスシートの導入は首都圏では難しいのかな。

種村直樹氏の勇退

とうとうきたかと思ったのは、レイルウェイライター種村直樹氏が30年続けてきた「レイルウェイ・レビュー」の連載が編集部の方針で終了したこと。
思えば自分は氏の著作『鉄道旅行術』でまだ見ぬローカル線や夜行列車の旅に思いをはせ、時刻表に目を通すなかで運賃の計算や規則の解釈でわからないことがあればはがきで氏に質問して知識を吸収してきた世代。(種村直樹氏は、読者から鉄道に関する質問をハガキで受け付け、無償かつ自筆で答える丁寧なファンサービスを長年続けていた。ネットの普及する以前の通信事情を考えると、執筆の合間を縫って手間のかかる作業を地道に続けていたことに今さらながら驚く)
本人も今号の記事で触れていたように、氏が脳卒中で倒れた2001年以降の「レイルウェイ・レビュー」は過去記事の転載やおおよそジャーナリスティックとは言えない私情を書き殴った、往時を知る読者からは読むに耐えないクオリティで痛々しくすらあった。
長い間お疲れ様でした、とひとまずは氏をねぎらいたい。