スパムフィルタに溺れた日

スパム対策に王道はない。
最近経験した僕の失敗を、自省を込めつつ書き留めておきたい。

メールアドレスを使い分けるとき

最近は、受信するメールの性質に応じてメールアドレスを複数運用することもきわめて楽になった。僕は下記のとおりアドレスを使い分けている。

  1. 家族や友人とメールをやりとりするとき:携帯電話のメールアドレス
    • 休日の集合時間や家に帰る時間など、一言二言伝えれば事足りる内容を、ウェブにつながっていない環境から簡潔に伝えたいときに使う。
  2. リアルな知人とメールをやりとりするとき:プロバイダからもらったメールアドレス
    • 顔を見知った友人・知人、コミュニティでメールをやりとりするときに使う。
    • ウェブを歩き始めた時期とほぼ同時に使い始めた、自分にとってはある意味で「由緒のある」メールアドレス。
  3. 1対1でやりとりするわけではないが、自分にとって大事ななメールをやりとりするとき:Gmail
  4. やむなくメールアドレスを登録する必要があるとき:Yahooメール
    • 例えば懸賞やアンケートに答えるときにメールアドレスの記載が必須の場合は、このアドレスを使う。万が一その手の業者の手に渡ってももかまわない、いわゆる「捨てアド」。

メールアドレスに応じた、スパムとの向き合い方

携帯のアドレスは、アカウントの文字列を長いものに変えて以降、スパムを受信することはほとんどなくなった。
Gmailは、ユーザがフィルタを作らなくても高い精度でスパムを自動で振り分けてくれる。きわめて優秀。
Yahooメールは、むしろスパムを受信してもかまわない捨てアドと割り切っているので、自動判別の機能以上にスパムフィルタをきめ細かく設定することもない。かつ気がついたときにログインする程度なので、事実上放置。
問題は、自分がリアルな知人とのコミュニケーションに使う、プロバイダから与えられたメールアドレスである。

「由緒あるアドレス」でのスパム対策

アドレスを不必要にウェブに晒しているわけでもないし、知っているのはリアルに僕を知っているごく一部の人たちだけだ。それでもアカウントの文字列がそれほど長くないのが災いしたのだろう、スパムの辞書攻撃にあえなく発掘されてしまったようで、ある時期を境にスパムが洪水のように押し寄せるようになった。
100通メールを受信すれば、95通は関係のないスパムだ。もちろん僕だって馬鹿ではない。特定の語句をタイトルに含む(例:※未承諾広告)メール、頻繁にスパムを発信するアドレスを一つずつブロックすれば、しばらくはノイズを絞ることができた。それでも、最近増えてきたのは「迷子になったユーザ」を装ってフィルタをくぐり抜ける巧妙な手口だ。タイトルを読むだけではスパムかどうかわからない。文末にURLが記載されているのを見るまで、スパムと確信できないことすらあった。

ドメインごとに受信拒否するという選択肢

スパムに無駄な労力を割くことに業を煮やして僕が取ったのは、スパムを頻繁に発信するドメインそのものを受信拒否することだった。
具体的に挙げるなら「*@yahoo.com」「*@yahoo.co.jp」「*@hotmail.co.jp」「*@hotmail.com」といった、いわゆるフリーメールのドメインから発信されるメールを受信拒否、強制的に削除トレイに移動するようにした。
僕のプロバイダのアドレスを知らせているのはリアルな知人だけだし、リアルな知人でフリーメールを所定のアドレスにしている者もいない。ならば、多少思い切ってフィルタしても大丈夫だろう。
いや、きっと大丈夫だ。

裏目に出たフィルタ

目にするスパムも多少は減って「やはり大丈夫だった」と自分の選択に自信を持ち始めた頃、「あのときのメール、見てくれた?」と友人から電話があって、冷や水を浴びせられた気分になった。
友人は、ネットカフェから僕にメールを送ろうとして、その場で無料でメールアドレスを取得できるサービスからアドレスを取得、僕に伝えたいことをメールで送ったようだった。このようなケースに対して、僕が設定したドメインごとの受信拒否の設定が裏目に作用したのだ。
友人に返信が遅れたことを謝って、僕はドメインごとに設けたスパムフィルタを解除せざるを得なかった。

地道に取り組むほかない、スパム対策

僕のように、メーラーOutlookを使っている一ユーザにできることがあるとすれば、多少重くなるのを覚悟したうえでスパムを自動判別するソフトを入れるか、地道にブラックリストを作成していくほかないのだろうか。
こみ上げてくる苦い思いに向き合いながら、あぐらをかかずもう少し知恵を振り絞る必要がありそうだと頭を抱えてみる。